目次
はじめに
CRM Analyticsでのダッシュボード作成は、CSVファイルなどの外部データを取り込んで使用することもできますが、今回はSalesforceに登録されているデータを使用した方法についてご紹介します。
CRM Analyticsについて
CRM Analyticsとは、AIを搭載したSalesforceの分析プラットフォームです。
Salesforceと直接連携し、現状や過去の経緯をもとにした分析だけでなく、将来の結果を予測し、ビジネスにおいて次の行動を考える手助けをします。
引用:Salesforce サクセスナビ
フィルタリングやドリルダウンを使って特定の視点に焦点を当て、深掘りして分析することができます。
主要用語
以下は、CRM Analyticsに関連する用語の簡単な説明です。実際の画面やTrailheadで学習する際にもよく出てくる用語なので事前に知っておきましょう。
-
アプリケーション
データセット、ダッシュボード、レンズが格納されているフォルダのこと -
レシピ
CRM Analytics内にデータを取り込むための処理を定義したもののこと
データの結合、加工、出力を行う -
データセット
分析に使用するデータの集まりのこと -
レンズ
データセットからデータを抽出・集計し、視覚化したもののこと -
ダッシュボード
複数のレンズをまとめて表示し、ユーザーがデータを操作・確認できる画面のこと
セットアップ
ユーザーへの権限の付与とCRM Analyticsの有効化
まずは、ユーザーへの権限の付与とCRM Analyticsの有効化を行います。
アプリケーションランチャー(画面左上9つの点のアイコン)を押下し、「Analytics Studio」が表示され、問題なく遷移できるのであればこちらはスキップしていただいて大丈夫です。
手順については、以下Salesforceのサイトに丁寧な説明が載っているので、そちらをご参照ください。
CRM Analytics の利用開始において必要な設定方法
新規アプリケーションを作成
作成したデータセット、ダッシュボードなどを格納するアプリケーションを作成します。
-
Analytics Studio>右上「作成」ボタンからアプリケーションを押下>「空白のアプリケーション」を押下>「次へ」
任意の名前を入力し「作成」ボタンを押下すると、新規作成されます。
今回は「サンプル」アプリケーションを作成しました。
使用例
今回は商談オブジェクトとユーザーオブジェクトを使用して、「商談担当者(所有者)別の成約率」をダッシュボードに表示する手順を例にご紹介します。
大まかな流れは、
- ①データの用意
- ②データマネージャーでデータセットの作成
- ③Analytics Studioでデータセットの可視化
となります。
①データの用意
今回は以下のフォームから環境を作成し、元々登録されていたデータを使用しています。
フォーム送信完了後、環境情報が記載されたメールが来るまでに10分ほどかかりました。
Trailhead-Get a Free CRM Analytics-enabled Developer Edition
②データマネージャーでデータセットの作成
ここからはデータマネージャーでの操作になります。
データマネージャーは、Analytics Studioのサイドメニューまたはアプリケーションランチャーから遷移できます。
接続の編集
Salesforceに登録されているデータをAnalytics環境へ持ってくるための設定を行います。
-
接続>SFDC_LOCAL>▼マーク内の「オブジェクトを編集」を押下
同期するオブジェクト(商談とユーザー)と項目にチェックをし、保存します。
-
「接続」>「SFDC_LOCAL」>▼マーク内の「今すぐ実行」を押下
先ほどチェックを付けた情報の同期が行われます。
レシピの作成
-
「レシピ」>「新規レシピ」ボタンを押下>「入力データを追加」ボタンを押下
分析に必要なオブジェクト(商談とユーザー)と項目を選択します。
プレビュー画面でのデータの表示が分かりづらくなってしまうので、データの結合やダッシュボードの表示に不要な項目のチェックは外します。 -
オブジェクト横の+マークを結合したいオブジェクトにドラッグ&ドロップし、「結合」を押下
これはDBのテーブル結合のようなものです。用途に合わせて結合種別と結合キーを選択してください。
今回はデフォルトの値のままで良いです。 -
+マーク押下>ノードを追加で「出力」を選択
加工されたデータをデータセットとして出力する設定を行います。
レシピの実行
レシピの実行はレシピ画面の右上の「保存して実行」ボタン、もしくは保存している場合は「レシピ」>レシピ行▼マーク内の「今すぐ実行」から行えます。
実行状況は「ジョブ監視」から確認でき、成功した場合はAnalytics Studioにデータセットが作成(既に存在する場合は更新)されます。
同期やレシピの実行の自動化
上記では手動で実行する方法を説明しましたが、初回以降は自動化の設定をしておくと便利です。
-
「接続」>「SFDC_LOCAL」>▼マーク内の「スケジュール」を押下
-
「レシピ」>レシピ行▼マーク内の「スケジュール」を押下
③Analytics Studioでデータセットの可視化
ここからはAnalytics Studioでの操作になります。
レンズの作成
-
「参照」>「アプリケーション」(セットアップで作成したものを選択)>「データセット」で対象のデータセットを選択
新規レンズタブが表示されるので、ここで「商談担当者別の成約率」をグラフ化します。
-
データを指定し、商談担当者別の商談の総件数を表示
- 棒の長さ "行 計数"を指定
- 横棒 "氏名"を指定 -
データを追加し、1の横に成約した商談の件数を表示
- 棒の長さ "行 計数"を追加
- ▼マーク内の「条件を追加」>フェーズ>"Closed Won"(=成約)>「適用」ボタン押下 -
棒の長さの表示名を変更(▼マーク内の「列の名前を変更」)
-
データを追加し、成約率を表示
- 棒の長さ "行 計数"を追加
- ▼マーク内の「この列を編集」でCの列ヘッダー・計算・形式を編集し、「適用」ボタン押下
-
棒の長さの総件数と成約件数を非表示(▼マーク内の「非表示」押下)
-
画面右「グラフ」と「フォーマッティング」でグラフの表示を調整
-
レンズを保存
ダッシュボードの作成
-
「参照」>右上「作成」ボタンからダッシュボードを押下>「空白のダッシュボードを作成」を押下
新規ダッシュボードが表示されるので、先ほど作成したレンズを表示します。以下の手順でカスタマイズされたダッシュボードが作成できます。
-
対象のレンズを表示し、右上「デザイナーにクリップ」を押下
- 表示ラベル "商談担当者別 成約率"を入力
- 「デザイナーにクリップ」ボタンを押下この操作により、現在開いているダッシュボードにレンズが追加され、そのデータが利用できるようになります。
-
ダッシュボード右メニューから表示するレンズを選択し、キャンバスにドラッグ&ドロップ
ダッシュボードに「商談担当者別の成約率」を表示することができました。
ここからはサイズや配置を調整したり、他のレンズを追加して必要に応じてダッシュボードをカスタマイズします。 -
ダッシュボード左メニュー>任意のウィジェットをキャンバスにドラッグ&ドロップ>使用する項目を選択
ウィジェットを使用することで、より多様なダッシュボードの表示ができます。
-
ダッシュボードを保存・プレビュー
おわりに
今回は、CRM Analyticsのダッシュボード作成までの基本的な操作を例をもとにご紹介しました。Salesforceのサクセスナビにも丁寧な解説が掲載されていますが、やはり実際に手を動かして作成してみることが、理解を深める一番の方法だと感じます。
また、「どのようなデータを表示したいか」や、「その表示のためにどういうデータが必要か」、「どういうデータ構造であればよいか」を明確にイメージすることが、CRM Analyticsを使用するにあたって重要であると感じています。
私自身まだ使いこなせていない機能も多く、引き続き勉強を続けていきたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。